2017年03月02日

モエのスイスイ日記〈7〉

みなさま、こんばんは。
モエのスイスイ日記、先週おやすみしてしまいました。しかも今日は木曜日。スイスイじゃなくてモクモクですね。黙々。

今月3月17日(金)と18日(土)にアバンギルドで本番をむかえるKnit Cap Theater presents“Oh!Radio”。今日は、私が出演するコントの元ネタとなっている詩をご紹介します。私はこの詩が好きです。


【夕焼け】吉野弘

いつものことだが
電車は満員だった。
そして
いつものことだが
若者と娘が腰をおろし
としよりが立っていた。
うつむいていた娘が立って
としよりに席をゆずった。
そそくさととしよりが坐った。
礼も言わずにとしよりは次の駅で降りた。
娘は座った。
別のとしよりが娘の前に
横あいから押されてきた。
娘はうつむいた。
しかし
又立って
席を
そのとしよりにゆずった。
としよりは次の駅で礼を言って降りた。
娘は坐った。
二度あることは と言う通り
別のとしよりが娘の前に
押し出された。
可愛そうに
娘はうつむいて
そして今度は席を立たなかった。
次の駅も
次の駅も
下唇をキュッと噛んで
身体をこわばらせて―――。
僕は電車を降りた。
固くなってうつむいて
娘はどこまで行ったろう。
やさしい心の持主は
いつでもどこでも
われにもあらず受難者となる。
何故って
やさしい心の持主は
他人のつらさを自分のつらさのように
感じるから。
やさしい心に責められながら
娘はどこまでゆけるだろう。
下唇を噛んで
つらい気持で
美しい夕焼けも見ないで。
posted by ニットキャッパー at 23:56 | Comment(0) | 日々の泡
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